桐朋生物部のブログ

桐朋生物部の活動をまとめたブログです。Twitterもよろしく♪

桐朋生物部

ハイギョの夏眠実験 最終回

昨日に引き続き、ハイギョの夏眠実験の報告をします。これが最終回です。
 
もうこれまでのあらすじを書く気になれないんで書きませんが、第1~3回を見たいという方のためにURLだけ貼っときます。
 
 
さて、ここから前回の続きになります。
<8日後>
イメージ 1
 
ちょっと日が飛びましたが、水深を下げ始めてから8日後の様子です。またも訳が分かりませんね。でもこの中にはちゃんとハイギョがいるんですよ。なぜ巣穴の周りの泥がないかと言うと、乾燥を早めるためです。泥が乾くにつれ、ひび割れも目立ってきました。
 
イメージ 2
翌日、ひび割れにより良い感じに巣穴の一部が採取できたので、観察しました。ぶれてるのでよく分らないかもしれませんが、泥が粘液によって固まっていることが分かると思います。
 
<12日後>
 
イメージ 3
 
ひび割れが収まらず、土をどけると、とうとうここまで体が見える状態になりました。観察後、土は戻しました。どういう状態になっているかと言うと、長い尾びれを利用して、目もしくは頭部全体を守るため、丸まっているんですね。体表は若干ヌルヌルしている感じです。尾びれの少しピンク色なのが気になる…。
 
<14日後>
 
イメージ 4
上の画像と同じ角度からの撮影です。なんだかすごい色になっていますが、この時点では生きていました。予定の約2週間が経過したので、水を入れてみることに。しかし、何時間経っても目覚めることはありませんでした。最後の最後で失敗という結果になり、非常に残念でした。
 
 
考察
まずは第1回で書いた観察ポイントから。
・水位を下げる過程で溺死しないか
→今回は大丈夫だった。どの水深でも器用に頭を水面に持って行って呼吸していた。ただ、中途半端な水深で何日も放置すると溺死もありうるのかもしれない。この実験においては、一気に水深を1㎝まで下げるのは正解だったと思う。
 
・泥繭とはどういうものなのか、というか繭を作るのか
→最後の最後で失敗したため、完全には分からなかった。だが、まず巣穴をほり、粘液で周りの泥を固め、安全で一定の湿度・気温が保たれる環境をつくることは分かった。その後巣穴のなかで自分も粘液に包まれて繭になるのか、それとも粘液を出したまま乾かさずに雨季を待つのか、そこらへんは不明。
 
・夏眠中にフンをするのか
→実験前、ハイギョを泥底の環境に移した際に、いつもより多くフンを出した。ただ、これは単なる環境の変化によるものかもしれないし、自然下では数カ月単位で行われる夏眠なので、今回のような2週間の観察のみではよく分らなかった。
 
・泥の中での呼吸
→巣穴を作る前は、たまに口を開けて空気を吸い込んでいた。巣穴を作った後は、確実に作る前よりも呼吸頻度は落ちたようだったがそれでもたまに口を開けて呼吸していた。
 
・夏眠中の姿勢
→丸まって、尾で頭部または目を保護する姿勢をとる。手足はバラバラな向きをしていた。
 
以下は今回の反省点
 
・全体的にハイペースすぎる実験…2週間で無理やり泥を乾かすのはかなりハイギョにも負担がかかったよう。観察しやすいよう、巣穴を一部崩したり、断面の写真を撮ったりしたのは相当なストレスになっていたと思う。
 
 
・死因は何か…考えられるのは、レッドレッグ症候群の感染。両生類にはよくある病気で、ハイギョが罹らないとはいいきれない。夏眠中のハイギョなんてほぼ両生類みたいなもんだから。以前生物部で飼育していた、とある両生類がこの病気で死んだときと酷似していた。体が空気に触れていた部分を中心に赤くなっていたことから、巣穴を崩したさい、病原菌であるエロモナス菌に感染したのではないかと考える。それに加え、突然の注水、必要以上にいじくりまわされたことが影響していたのではないかと思う。
 
 
 
以上の反省点を踏まえれば、第2回夏眠実験は必ず成功すると確信しています。
こんな長い文章を最後まで読んで下さり有難うございました。