桐朋生物部のブログ

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桐朋生物部

講演会

我輩はマンファリである。2/19に我々は生物研究の集いの発表会に出席した。
勿論発表をするためである。(このことに関しては別を参照。)

今回出席するにあたって前々日先輩方から告げられた一つの事実がある。

「集イノ山場ハ講演会ニアリ。」

最初は全く意味が分からなかった。どうせ悪乗りの一種だろうと思っていた。
しかし、当日の朝駅に集合した際この意味が明らかになった。
それは・・・
「睡魔との闘い。」

 講演会の時間になると睡魔がホールに群れをなし、生徒を一人一人、深い眠りの底へ突き落とすようだ。
 私の胸は焦燥感で満たされた。だが、焦ったところでどうしようもない。いざ、会場へ。

 
午前中様々な学校の発表を見た後昼食をとった。そして展示発表を見て、いつもお世話になっている学校に挨拶した後ホールへと戻った。

午後の部は口頭発表→講演会の順である。
もはや勝ち目は無かった。眠気が絶頂に達してから睡魔と戦闘である。私はあきらめていた。

そんな気持ちで迎えた講演会。講義をしてくださるのは長島孝行先生である。
題名は「自然に学ぶネイチャーテクノロジー」しかし背景にはうっすらと「インセクトテクノロジー」という文字があった。

先生は睡魔の天敵であった。

 私の心は晴れ授業を受けることが出来た。

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長いマエフリはさておき本題の講演の内容に入ろうと思う。
そもそもネイチャーテクノロジーとは、生物の機能、習性などを物作りなど、産業に応用しようという試みのこと。先生の言葉を引用すれば「自然に学ぶものづくり」である。1980年代はBioMimeticsと呼ばれていた。
そもそも今の人間の産業は技術の淘汰が繰り返されている。なにか新しい技術が確立されれば前のものは滅びる。こういったことを続けてゆけば人類が絶滅危惧種となってしまう。
そこで自然界に目を向けるとそこには人類に必要な技術の全てがあった。このようにしてネイチャーテクノロジーは発達していったのである。
そもそも自然を応用した産業に発展には大きく分けて二つある。

①生物の習性などを参考に物を作る。
②生物から採取したものから物を作る。

①は主にアメリカが行なっている。一見すばらしいことのように思えるのだが、石油などを使っては意味が無くいずれ尽きてしまう。
一方、②ではどうだろうか。人間が生物を増やしそれを用いればよいのである。

ご存知の方も多いと思うが蓮の葉の撥水性を生かした濡れない布というものがある。

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(布に水をかけた様子)
これは先生の研究のうちのひとつである。とても素晴らしい技術だが先生はご不満のようだった。
なぜならこの布の材料は石油だからである。
また、先生の研究のひとつにシルクに関する研究がある。
シルクといえばスカーフなどに使われるとてもさわり心地のよい生地である。しかし、シルクはさわり心地が良いわけではない。様々な効果があるのだがそのうちの一部を紹介しよう思う。

①静菌作用・・・・・・・菌を増殖させず、減らしもしない。
②アレルギー反応を起こさない。
③紫外線を通さない。(B波のみ)
④脂肪の吸収

である。このような効果から様々な商品が開発されている。
例えば化粧水。そもそも化粧水は健康商品だったが、様々な効果を追い求めるうちに石油から作られたものに変わってしまった。健康的ではなくなってしまった。
そこで、シルクを粉末状にしたものを水に溶かし、化粧水にしたのである。材料はシルクと水。健康にとても良い。そして、シルクの効果でUVカットをしている。
その他様々な商品がある。  

このように書くとわざわざカイコから生糸をとらなくとも人間が作れば良いように思える。
先生も当初はそう思い生糸の作製を試みたそうである。しかし、人間の技術で作ることは可能だがカイコの出す生糸と比較すると純度が低いうえ時間とお金がかなり掛かる。そこで、生糸はカイコから採取するということに至ったのである。

また、生糸の種類により効果も異なる。カイコの仲間であるヤママユから採れる糸では紫外線のABC波全てを遮断することが出来るのである。
さらに、クリキュラという種の生糸には「ルテイン」という物質が含まれておりこれは白内障への有効成分である。

石油から作り出したプラスチックはもう二度と石油には戻らない。しかし天然のものを使うとどうであろうか?一部、再構築が可能である。

もし、このまま石油や水を使い続け”戻らないもの”にする1000年後人類はどうなっているのだろうか?

答えは激減だそうだ。しかし、前述した方法で様々な物を再利用、再構築するとどうであろう。
多少人口は減るものの激減は免れられるようである。


今の人類に求められているのは、生物を資源として使い、使い続けらる社会、技術である。