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室内実験実習講座2012 ―解剖、そして受精。

Funajiroです。
室内実験実習講座の記事のつづきです。 (前の記事はこちら

実験室に着いた後、我々は担当の先生からまずはアフリカツメガエルについてや今日の実習内容についてスライドで説明を受け、早速解剖を行いました。

【参考】アフリカツメガエルについて
アフリカツメガエルXenopus laevis)は南アフリカ原産のカエルです。扁平な体をしていて、後肢の3本の指には黒い爪があります。カエルとしては珍しく、舌を持ちません。餌は生餌だけでなく、レバーや人工飼料なども好んで食べます。成体になっても水中生活を続け、受精後1年ほどで性成熟します。
このようにアフリカツメガエルは実験室飼育が容易な上、ホルモン処理をすれば季節を問わずに卵を得ることができるため、実験材料として欠かせない動物となっています。また、胚や幼生期の発生過程の実験の国際的な基準にもなっているため、実験材料として大きな利点になっています。


解剖に使われたのは、氷水で動きを鈍くさせておいたアフリカツメガエル♂の成体です。桐朋は2テーブルに分かれて行いました。
これまで、生物部ではアフリカツメガエルの解剖実習を行ったことがあるため、特に解剖は問題なくスムーズにやれました。

今回の解剖では臓器の観察なども勿論しましたが、目的は精巣を摘出することです。
精巣は脂肪体を引っ張り出すと、その下にあります。
イメージ 1
黄色いのが脂肪体です。
脂肪体を取り出すと、それにくっついて精巣も出てきます。それを綺麗に切り取れば目的は達成です。写真はちょうど脂肪体を取り出そうとしているところです。
アフリカツメガエルの精巣はクリーム色っぽく、米粒くらいの大きさです。

解剖したカエルでは、持ってきた電気ピンセットで神経の反応を見たりもしました。ずっとデンドロビウムがそれで遊んでいましたね。


ということで、精巣が取り出せたので、次は人工授精をさせるためにその精巣から精子懸濁液(せいしけんだくえき)を作成します。

作成の手順は次の通りです。
1.生理食塩水が少し入ったチューブに精巣を入れ、細かく切断
2.生理食塩水を追加し、4mlに希釈 (精子懸濁液完成)
3.人工授精に使用するまでは氷上で保存

イメージ 2
チューブに入った精巣を細断している様子

懸濁液の作成は、どちらのテーブルも大体上手くいきました。
私の居たテーブルでは4mlを超える量出来上がってしまいましたが、そんなに問題はなさそうなのでよしということで。

ここまで、受精に必要な精子の準備をしてきたわけですが、大事な卵のほうは各テーブルに配布されました。なので、これで人工授精ができるようになったということです。

人工授精はシャーレ上で行いました。
手順は次の通り。
1.シャーレ上の未受精卵に、さきほど作った精子懸濁液を数滴かけて、卵が壊れないように軽く混ぜる。
2.2~3分静かにおいておく。
3.卵が浮き上がらないように蒸留水をシャーレに一気に注ぎ込み、卵が常に浸っているようにする。

ここで、我々は懸濁液をかけすぎたり、2,3分おかないでやってしまったり、蒸留水をかけるべきなのに生理食塩水をかけてしまったりと様々なミスをしでかしてしまいました。しかもどちらのテーブルでもやらかしました。
受精という大事な部分ですので、果たして成功するか心配に。

もし受精がうまくいっていれば、蒸留水を入れてから20分ほどすると定位回転が起こります。
事前学習の記事にもあるように、卵には動物極(卵の黒い側)と植物極(白い側)があり、受精前は卵の向きがばらばらです。それが、受精後向きがみな同じになるのです(動物極が上を向く)。

イメージ 3
左:人工授精直後 右:約20分経過後

写真をみると、上手くいってくれたことが分かります。無事に大体の卵が黒い面を上にしました。
ちなみに動物極側が黒いのは、メラニンという黒い色素が多く含まれているからです。植物極側には卵黄が多く含まれています。

安心できたところで、午前の部は終了し、昼休憩になりました。
受精後、卵割が始まるのは温度にもよりますが、23℃の場合90分ほど経つと始まります。

昼。マリオは蕎麦を食べに行き、他の人も飯を食べたり外をちょっとぶらぶらしたり、一時間以上ある休憩をのんびり過ごしました。



私事で申し訳ないですが、ちょっと書くのが疲れたので続きはまた新しい記事ということで。
おやすみなさい。