桐朋生物部のブログ

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室内実験実習講座2012 ―発生

Funajiroです。
18日の実習講座のつづきです。 (前の記事はこちら

午後

私はマンファリ、バラムンディと一緒に居たのですが(他の人はどこかに行ったか知らない)、まだあまり人の居ない実験室に戻って卵を見てみるともう卵割が起こっていました。

イメージ 2

写真左が受精から20分ほど経った受精卵の様子(顕微鏡で見た写真)。
写真右は休憩を終えた際、13時前くらいに見たときの卵です。

両者を比べてみると、卵割が起こったのが確認できると思います。

そもそも卵割というのは、受精卵に見られる連続して速やかに起こる対細胞分裂のことです。
一般的な体細胞分裂では分裂して出来た細胞は成長してもとの大きさに戻りますが、卵割の場合、生じた細胞(割球)が成長しないで分裂を続けるため、どんどん大きさが小さくなります。なので細胞が増えても胚全体の大きさは変わりません。
なお、卵は卵黄の蓄積によってもともとの細胞よりも体積が増加しているので、卵割で小さくなった割球はやがてふつうの体細胞と同じ大きさになります。
また、卵割は分裂のスピードが速いことや、どの細胞も同時に分裂(同調分裂)が行われるという特徴もあります。

23℃の場合、受精から90分ほどで第一卵割が起こり、その後は約30分周期で卵割が起こります。
「第一卵割」は最初の卵割で、つまり上の写真で細胞が二つに分裂した過程のことをいいます。第一卵割は、動物極と植物極を結ぶ垂直な面で起こり、それによって大きさの等しい2つの割球を生じます。

イメージ 1
2細胞期になると、今度は第二卵割をします。
第二卵割は第一卵割面と直交する垂直な面で起こり、分裂によって4つの等しい大きさの割球が生じます。そして4細胞期と呼ばれる段階になります。

第一、第二卵割はいずれも垂直な面で起こりましたが、第三卵割は水平な面で起こります。このとき、卵割は卵黄があると起こりにくいため、動物極側に寄った側で起こり、割球の大きさが異なって生じます。
このとき割球は8つで、8細胞期となります。写真だと上から見た様子なので構造が分かりにくいですが、4細胞期とは変化があることくらいは分かると思います。


イメージ 3

8細胞期になったら、今度は第四卵割が起こります。第三卵割は水平な面で起こりましたが、第四卵割は第一卵割・第二卵割同様、垂直な面で起こります。この卵割で、16個の割球が生まれ、3枚の写真のうちの左端のようになります。これが16細胞期です。

もうここまで来れば卵割の流れは大体お分かりなんじゃないかと思います。
第四卵割の次は勿論第五卵割。これによって写真中央の32細胞期になります。だんだんと数えにくくなってきますので、このあたりから「桑実胚期」と言われるようになります。これは、胚の形が桑の実に似ていることからです。

今回のわれわれの観察では時間の都合上、受精後4時間位しか行っていません。したがって、進んでいても64細胞期くらいまでだったのではないでしょうか。
事前学習の記事にも書いてあるように、桑実胚期後も卵割は進み、胞胚期になると割球ひとつひとつが小さくなり、表面が滑らかになっていきます。


幼生になるまでにはまだまだかかりますが、ひとまず今回は桑実胚あたりまで観察することができました。
午後は胚を観察していただけだったかというと、そういうわけではありません。

あるタイミングで各テーブルに胞胚期の胚と大根、かみそりが配られました。
胞胚期になると動物極側の内部には胞胚腔(ほうはいこう)という空間が生じているので、胚を切断し、それを初めとする内部構造を観察してみようという企画でした。
イメージ 4
大根に埋め込み、それをかみそりで上手く切れということでしたが、何回やっても上手くいかず、結局見られませんでした。

そんな感じで、この日の内容は大体以上です。
まだ書いていませんでしたが、スケッチ用紙が午前中配られたので、一応みんな描きました。
配られたのが、解剖はもう終わりカエルが原形を保てていない状態になってしまっていたタイミングだったので、満足な絵は描けなかったと思います。
写真のはバラムンディのもの。
イメージ 5

最後、我々は実験室から「オーディオホール」と呼ばれる講堂のような場所で感想を書き、実習講座は終了しました。

16時半前、駅で解散。
マリオは両国の街に消え、我々も大部分がマリオの後を追うように2次会へ・・・