樹脂標本作製記 第一話
皆さんこんばんは、ペッパーです。
今日は皆さんお待ちかね(?)の桐朋祭にて展示した水生昆虫の樹脂封入標本の作製記をお送りしていきたいと思います。
使用機材
・樹脂と硬化剤…Amaz○nで購入
・小型タッパー(型に使うもの)…百均で購入
・製氷皿(型に使うもの)…百均で購入
・密閉小型タッパー(エタノールを入れるもの)…百均で購入
・小瓶(エタノールを入れるもの)…百均で購入
・ピンセット…百均で購入
・消毒用エタノール…薬局で購入
・つまようじと竹串…家にあったもの
・樹脂を入れる容器…家にあったもの
・新聞紙(作業中下に敷くもの)…家にあったもの
・ラップ…家にあったもの
①脱水
まずは脱水です(標本にする虫を採ってくる事は省きます)。
1.採集してきた虫を、気化したエタノールを充満させた瓶に入れておくなどしてシメます。すでに死んでしまっているものでも標本は作れると思いますが、そのへんで拾ってきたものや死後時間が経っているものは損傷が激しいことが多いので、あまりお勧めしません。
2.足などの関節がまだ動かせる場合は、ここで虫の姿勢を整えておきます。このタイミングで姿勢を整えておかないと関節が固くなって動かせなくなってしまいます。
また、容器の密閉が不十分だと少しずつエタノールが漏れ出してシャレにならない大参事に繋がる可能性もあるので、容器の密閉はしっかりしましょう。
4.2週間ほど置いておきます。置いておく期間は標本にする虫の大きさによって調節してください。
②樹脂1層目
1.樹脂と硬化剤を規定の分量で混ぜます。標本に使う樹脂はAmaz○nで1㎏1000円ぐらいのものを購入して使いました。「樹脂 標本用」で調べれば出てきますよ。0.25㎏、0.5㎏、1㎏、2㎏、4㎏から選べて、硬化剤と樹脂と硬化剤の分量や固まった後の樹脂の性質が書かれた小冊子もついてきます。
なお、樹脂はかなりにおいがきついので、作業中は絶対に換気をしてください。
ちなみに小冊子にある「PHR」という単位は、「樹脂の重さを100とした時の硬化剤の重さ」のことです。パーセントとは違いますよ。
2.型となる小さなタッパーに樹脂と硬化剤を混ぜたものを注ぎます。厚さはそこまで厚くなくて構いません。
3.タッパーにふたをして、2~3日置いておきます。樹脂が完全に固まるには2週間ほどかかりますが、②と③、③と④の間は2~3日で大丈夫です。
製氷皿で作る場合も、ラップをかけて端をテープでとめておくなどしましょう。
樹脂は乾燥ではなく化学変化で固まるらしいので、ホコリの侵入を防ぐためにもしっかりふたをして大丈夫です。
③樹脂2層目(標本の封入)
1.②で作ったものと同じ樹脂と硬化剤を混ぜた物を作り、コップぐらいの大きさの容器に入れておきます。
2.①のエタノールの中から虫の死骸を取り出し、表面が乾く程度まで軽く乾かします。あまり乾かしすぎると柔らかい虫などはぺちゃんこになってしまうので、乾かしすぎには注意してください。
3.2で取り出した虫の死骸をピンセットでつまんで、1の容器の中の樹脂に漬けて軽く振ったり樹脂に入れたり出したりして虫に付いた気泡を取り除きます。樹脂に漬けたままつまようじなどを使って細かい隙間にある気泡も取ります。
こうすると気泡だけ樹脂の表面に浮かんでくるので、取り出す時にせっかく取った気泡がまた虫に付かないように、気泡の浮かんでいる場所を避けたり先に気泡を割ってから取り出したりと注意しながら取り出してください。
また、もたもたしすぎると樹脂が固まり始めてきてしまうので、作業は急ぎめでやってください。
4.②で作った土台の上に、3の気泡を採った虫の死骸を背中を下にして置きます。3で虫の死骸の表面に付いた樹脂は、出来るだけ落とさないでください。
5.4の上に、虫の胴体部分が浸かる程度まで樹脂と硬化剤を混ぜた物を入れます。あまり樹脂を注ぎすぎると、虫が浮かんできてしまうので注意です。
6.再びふたをして3~4日の間置いておきます。
④樹脂3層目
1.樹脂と硬化剤を混ぜたものを③の上に注ぎます。全体から見て虫がちょうど樹脂の真ん中に埋まるくらいの深さになるようにすると完成したとき見栄えがよくなります。
2.ふたをして今度は2週間ほど置いておきます。
⑤取り出し
1.2週間経ったら、いよいよ樹脂封入標本を型から取り出します。型の側面をひろげて側面の樹脂をはがし、そのあとひっくり返して型の底を叩けばカポッと樹脂封入標本が出てきます。製氷皿で作った場合は、氷を取り出すのとまったく同じ動作で外せます。
どうも型に入れているときに空気に触れていた部分は少しべたっとしていて指紋が付きやすいので、触る時に注意がいります。
2.標本のフチに余分な樹脂がついていた時はカッターナイフなどでとりのぞきます。
3.完成‼‼
以上、桐朋祭にて展示した樹脂封入標本の制作記でした。
第二話以降は、水生昆虫だけでなく、クワガタなど陸生の昆虫の樹脂封入標本の制作や標本の改善などを行っていこうかと思います。
長々しい文章にお付き合い頂き、ありがとうございました。
少しでもこれから樹脂封入標本を作ろうと思っている方々の参考になれば幸いです。