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ハコネサンショウウオ

ヒダサンショウウオに続き、またもや両生類のハコネサンショウウオを紹介します。
 
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この個体は幼生です。外鰓があるんですけど小さくてわかりづらいですね。
 
本種も流水性サンショウウオの1種で、爪があったり、尾がひれ状になったりしています。ヒダサンショウウオとよく似ていますね。
ただし、ヒダサンショウウオと異なっている点もあります。本種のほうがより低温の環境を好むこと、体の色が黄色や赤に近い点です。下の写真の個体ですらヒダサンショウウオの幼生より黄色がかっており、尾も赤色に近い部分があります。
イメージ 2
 
本種の成体は黒色や茶色の上に赤やオレンジ色がのっている感じです。とても派手な色です。
 
ですが、最大の違いは繁殖の仕方にあります。本種は伏流水という場所に卵を産みます。伏流水とは、地下を流れる川のことです。つまり、私たちが歩く地面のはるか下に産卵しているのです。そのため、特別な機材でもなければ絶対に見ることができません。発見するのは非常に困難です。
ただ幼生の場合になると話は別です。卵から生まれた幼生は伏流水から流れ出し普通の渓流に出てきます。この時期だけは数も多く発見することも容易です。
しかし変態し陸上生活をするようになると再び発見するのが最難関な生き物になります。昼間は地下にもぐり、夜だけ出てきますが、出てくる時間も短いです。
 
こういった点から見ると、非常に探し甲斐のある生き物ですね。しかし、もう1つ日本全国の生き物(魚以上の脊椎動物)で唯一の特徴があります。それは・・・
 
そう、ハコネサンショウウオは変態しても肺を持たないのです。ではどうやって呼吸しているのかと思いますね。
皮膚呼吸です。全身の皮膚を使って呼吸します。他の生物も皮膚呼吸をやっているんですが、これだけでは生きていけません。ハコネサンショウウオの場合は、生息環境が寒すぎるため肺呼吸の効率が悪いからと考えられています。
実に奇妙な生き物ですね。
 
 
生物部ではヒダサンショウウオを飼っている冷蔵庫のなかで飼育しています。かなり適した環境らしくよく泳ぐ姿が見られます。とてもかわいいですよ。
 
これでとりあえずサンショウウオの紹介は終わります。少しでも興味を持ってくださった方がいれば幸いです。